就業規則の法的効力は?

 特に中小企業で就業規則の作成根拠や動機を聞くと、「助成金を取るため、どこかの見本をそのまま持ってきた」「社長の以前の会社のものをそのまま利用している」等のことがよくあります。これは場合によっては大きな禍根を残すことになります。以下就業規則の重要性(法的効力)について記載します。

1, 従業員との重大な約束
 
 就業規則は従業員との約束です。つまりは10人の社員がいればお互いの権利義務において、10の契約書を取り交わしているのと同じこととなります。認識違いをした場合、それの効果が10倍になってしまいます。法律上は下記のとおりです。
法律(労働基準法等)>労働協約>就業規則>労働契約
 
1,労働協約
 使用者(会社)と労働組合で結ぶ取り決めで、締結した労働組合の組合員全員に適用されます。これは就業規則に優先します。外部ユニオンが介入してきたときにとにかく労働協約を結びたがりますが、根拠はこの辺です。協約の最後のほうに経営方針に関することは事前に組合と協議する、などと書かれるととても面倒なことになります。
 
2,労働契約
 使用者(会社)と労働者で個別に決める事柄です。労働契約書や労働条件通知書等でその内容を明らかにします。労働契約に書かれていないことは就業規則によります。
 
3,就業規則作成上の留意点

 

 特に法律を上回ることを取り決めする場合は注意が必要です。たとえば退職金規程がある場合、労働契約に書かれていなくても適用となります。とくにパート等の正社員と異なる立場の人の場合、注意が必要です。また就業規則を適用するためには周知徹底が必須です。
 
<労働基準法>
(労働契約との関係)第93条
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第12条の定めるところによる。
 
<労働契約法>
(就業規則違反の労働契約)第12条
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
 
2,就業規則が法的規範性が認められるとした判決
 
1,秋北バス事件
(概要)
 主任以上の職にある者に新たに55歳停年制(一般従業員は50歳)を設ける就業規則の変更によって解雇された従業員Xが、本人の同意のない就業規則の変更には拘束されないから、その解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めたもの。
 当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者が同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないとして、申立てを棄却した。

(判示)

 元来、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」(労働基準法二条一項)が、多数の労働者を使用する近代企業においては、労働条件は、経営上の要請に基づき、統一的かつ画一的に決定され、労働者は、経営主体が定める契約内容の定型に従って、附従的に契約を締結せざるを得ない立場に立たされるのが実情であり、この労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っている(民法九二条参照)ものということができる。     
                                                <秋北バス事件、最高裁 昭和43.12.25>
 
2,電電公社帯広局事件
(概要)
 健康診断受診の業務命令を拒否した労働者に対して、懲戒処分を行った事案で、秋北バス事件の最高裁判決の考え方を踏襲し、就業規則上の労働者の健康管理上の義務は合理的であり、労働契約の内容となっているとし、健康診断の受診拒否は懲戒事由に当たり、懲戒処分が有効とされた。
(判示)
 ・・・ところで、労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、その定めが合理的なものであるかぎり、個別的労働契約における労働条件の決定は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、法的規範としての性質を認められるに至っており、当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるというべきであるから(最高裁昭和四〇年(オ)第一四五号同昭和四三年一二月二五日大法廷判決・民集二二巻一三号三四五九頁)、使用者が当該具体的労働契約上いかなる事項について業務命令を発することができるかという点についても、関連する就業規則の規定内容が合理的なものであるかぎりにおいてそれが当該労働契約の内容となっているということを前提として検討すべきこととなる。換言すれば、就業規則が労働者に対し、一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべき旨を定めているときは、そのような就業規則の規定内容が合理的なものであるかぎりにおいて当該具体的労働契約の内容をなしているものということができる。
                                             <電電公社帯広局事件 最高裁 昭和61.3.13 >
3,就業規則の法的効力

 

 これらは有名な判決ですが、要するに合理的なものであるかぎり就業規則は労働契約であると言っています。これらは会社の主張が認められたものですが、逆の立場つまり労働者が就業規則を根拠に主張することもできることになります。会社にとっても肝に銘ずる判決といえます。



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