人事制度でよくあるご質問FAQ
部下の評価、営業職の給与など
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Q会議の生産性が上がらない
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A
会議に関しては、マンネリ化、暗い、時間のムダ、等の不満が良く聞かれます。何のための会議なのかを明確にし、それを確実に実行していくことが重要ではないかと思います。
1、目的の明確化
会議には、方針の伝達、方針の決定、アイデ収集等の目的があります。その目的に応じた方法が大切です。最後はいつも上司が「根性が足らん」で終わってしまっては、アイデアが出るわけがありません。2、決める会議
トリンプの元社長、吉越氏の、「決める会議」で残業時間を大幅に短縮した例が有名ですが、どんな会議であれ、何かを決めるべきです。ケースによっては「決めないことを決める」こともあるかと思います。3、うまく行ったことだけを話す会議
アイデアを出すときに、うまくいったことだけを話す会議も有効です。これを上手に活用していくと、コミュニケーションも良くなり、モチベーションも上がり、時には自社にとってのお宝を発見することもあります。 -
Q部下を評価できるマネジャーがいない
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A
これは一理ありますが、考え方としてははずれているケースのほうが多いと思います。
1、評価制度があるのか
評価をする基準がなければ、そもそも誰も評価できません。精緻な評価制度をつくる必要はありませんが(作ること事態無理だと思います)、会社が部門方針を明らかにしないで、評価できるわけがありません。2、評価者会議の有効活用
評価は評価できる上位者や評価者会議がやれば良いと思います。システムとして目標面接を行い、プロセスを体験させ、教育を行っていくうえで、徐々に評価できる人材になっていけば良いのではないでしょうか。3、評価者(面接者)にとっての最高の教育
目標面接の被面接者になることは、モチベーションの向上に役立ち、そこから能力を伸ばす人材も多くいます。 -
Q営業職の給与はどう決める?
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A
営業職は売上げに対するインセンティブがないとやる気が出ないことは事実でしょうが、方法を間違えるとかなりまずいことになります。自分だけがよければOKのような組織になってしまい、顧客満足がボロボロになってしまうケースが少なくありません。簡単に留意点を書いておきます。
1、売上げの公正性は?
売上げで成果報酬を出す場合、前提条件が異なるのに同じ評価を行うと大きな不満がでます。たとえば、売上げをあげにくい地域や商品担当になった場合です。2、売上げ以外の指標は
資生堂やネッツトヨタ南国等でうまくいっている例ですが、売上げではなくて、リピート率や車検から車購入に至った率等、たとえば顧客満足を得ることを指標化して、それを評価する方法です。これは非常に良い方法だと思います。ただしその指標が本当に会社の方針を実現するものか、売上げに結びつくものか、等の深い洞察が必要であり、その思考プロセスも大事だと思います。3、チーム単位は?
これもいろいろな意味で有効で、特にチームリーダー育成には良いと思います。ただし売上げに対する公平性は大事であり、チームの業績に直結できない職種の人の別管理等の工夫がポイントです。売上げと給与を直結する制度は一見公平そうに見えて、そうでない例がかなりあります。組織の目標を明確にして、それを実現できる制度なのかどうか慎重に考えることが重要です。
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Q昇給原資がない
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A
1,昇給どころではない?
経営環境がコロコロ変わる中、現実として昇給できないケースもあると思います。経営側からすれば「払えないものは払えない」と言いたいところです。しかし、それでは従業員は納得しません。キチッとした説明責任、将来への見通し、経営側の努力の証明等は必ず行うべきです。こういった時の対応が大きく経営を左右します。2、人事考課は?
会社が大変な時でも(大変なときこそ)、人事考課の面接は行うべきです。この1年または半年の部下の仕事振りへの評価は必ずすべきです。これを行わないと従業員へは自分が見られていないというメッセージになってしまいます。このメッセージはモチベーションに大きくかかわります。もし本当に昇給ができないのであれば、緊急事態であることを訴える面接にしても良いと思います。
賃金表や人事評価の不満など
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Q賃金表が当てはまらない
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A
これはよく出る質問です。
人事制度を作る=賃金表を作る
と捉えられている経営者の方も、まだ少なからずいらっしゃるようです。
結論からいえば賃金表を作り運用することは不可能です。
特に中小企業であればなおさらです。1、なぜ賃金表は運用できない
賃金表はその昔、職能給制度という制度が一世を風靡したときにさかんに使われたものです。職務遂行能力によって賃金があがっていく制度ですが、要するにチョットスパイスを効かせた年齢給のことです。これだけ環境変化が激しい時代に、将来にわたって賃金を約束することは不可能です。2、どうすれば良いのか
そうかといって全く賃金体系がないと、組織が大きくなるにしたがい、または期間が過ぎるにしたがって、支離滅裂な制度になってしまいます。なぜこの人がこの給与なのか、誰もわからない、といった喜劇的な局面になるケースも少なくありません。賃金体系を実質的なものにするには、ブロードバンド給(何らかの基準ごとに最高値と最低値を決めておく)をお勧めいたします。とくに中小企業に賃金制度を入れる場合、これしかないと実感しています。
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Q人事評価で不満が出る
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A
これは非常に多い課題です。人事制度の永遠の課題ともいえます。
人が集まって最大公約数の目標のもと、さまざまな制約のなかで組織運営をしていくなかで、むしろ不満が出ないほうがおかしいです。「組織は一定の離職率がないとおかしい」と有名な人事コンサルタントも言ってますが、私もそのとおりだと思います。すべての人が満足する(させられている)組織はとっても危険です。
問題は誰がどんな不満をもっているかで、会社にとって好ましい働きをしている人や、あきらかな不公平に基づく不満はまずいです。一方、会社にとってあまり好ましくない働きをしている人から出る不満は、むしろ健全かもしれません。
1、人事制度
「会社が従業員に何を期待していて、何をやったら良い評価で何をやらなかったら悪い評価で」といった決まりごとは絶対必要です。経営者が「うちの従業員は良くわかっている」と思うことと、従業員の「何を期待されているかわからない」のギャップは、経営者が考えている以上に大きいと思ったほうが良いです。2、納得感
人事制度の場合、実は制度そのものよりも、運用による不満のほうが多いようです。その時の待遇よりも、「要望を聞いてくれた、キチッと問題に向き合ってくれた、将来像を示してくれた」といった経営側からのアプローチは、従業員への大きな納得感をもたらします。人事制度は考えられる最もシンプルな設計で良いので、理屈にあった制度と、納得感が得られる運用が必須です。
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Q評価者によって、評価がバラバラ
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A
これも人事制度で相談の多い分野です。ビデオを使っての考課者訓練等を行っている企業もありますが、あまりお勧めできません。人の会社の人の評価基準を見てもあまり参考にならないと思います。
評価基準を一定にするには、評価者会議によって議論をすることが有効だと思います。経営幹部・複数の評価者で構成し、評価者が出した部下の評価をマトリックスにして、なぜその評価になったのか等を説明させ、異なる部門との比較をし、その場である程度評価を決めていくことです。それによって、経営幹部は従業員の見えない仕事振りがわかるし、企業としての評価基準が暗黙知として定まって行きます。
単に評価することだけでなく、評価者への教育効果も大きいです。
評価の方法や年俸制など
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Q評価基準書が現実とマッチしない
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A
これも大変多い質問です。人事制度は作りこめば作りこむほど現実と合わなくなる傾向があります。そもそもこれだけ経営環境の動きが激しい時代に、業務内容を評価基準に落とし込むことに無理があるような気がします。以下、2つの方向性を書きますが、ソフト面の充実がだんぜんお勧めです。
1、ハード面の充実
とにかく基準書の改訂版を作り続ける。評価をすることよりもこれを成長シート等の位置づけにして、上司と部下の成長記録に使う。2、ソフト面の充実
基準書はアバウトにして、ケースによっては期待行動とその結果記入等の文書形式にして、あとは面接制度や評価会議等をきっちり行う。何を期待するかを明確にして、その結果を報告させ、評価会議で評価の暗黙知を作る。3、大切なのは納得感
多くの経営者が、いかに正しく評価をするか(精緻な評価規準書作り)に関心がありますが、賃金はやる気をなくす要因です。正確さよりも納得感がより重要だと思います。そのためにはソフト面の充実が効果を発揮します。 -
Q360度評価、その効果は?
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A
人事制度や評価の話をすると、最近は必ずといっていいほど360度評価の話題がでます。これは従来の上司だけではなく、同僚・部下・顧客等その人をめぐる様々な人の意見を参考に評価をすることです。これは結論としては、
気づきをもたらすためには◎
評価制度に使うには×
です。組織運営にあたっては部下の意見を聞くことは大変重要です。また、マーケティング的には顧客の声には宝の山が眠っています。しかし、これを評価に使うとなると話は一変します。さまざまな思惑が入り乱れ、何の役にもたたない制度になる可能性が高いです。
人事制度に新しい視点をいれることは重要ですが、「何のためにやるのか」「それによって何が実現できるのか」を常に自問自答すべきです。
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Q年俸制を導入したいが
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A
「年俸とは何ですか?」にお答えください。
人事制度の話しをすると、よく出ることです。ここでは年俸は、「具体的な成果に基づく給与」ということにします。経営者にとっても、従業員にとっても、響きよく感じられるのでしょう。おそらくスポーツ選手をイメージしていると思います。ただ、スポーツ選手の場合、でてきた給与はザックリですが、そこに至るまではお互い資料を持ち合っての、複数繰り返される攻防、人によっては代理人を立てての交渉、等かなりハードなプロセスを経て決まります。
通常、制度をアバウトにした場合、プロセスは難しくなります。企業の人事とはいえ年俸制を導入するばあい、「対象者に期待する成果って何だろう?」から始まって、
①受け皿としての給与のバンド、
②何をどのように評価するか、
③面接の方法やツールをどうするか、
といったルールは必ず決めるべきです。そうでないと、最初の年俸は比較的スムーズに決まりますが、期間の経過とともに、何をすれば年俸がどのくらいあがり、何をしなければ年俸がどのくらい下がり、等があいまいになり、会社も従業員もストレスをかかえる原因になります。