勤怠管理ができない(難しい)

これはよくある相談です。システムが進化してもAIが普及しても、勤怠管理をきっちり行うことは難しいでしょう。おおげさな言い方ですが、労務管理の永遠の課題です。
ただし残業手当がきっちり支払われない、有休付与がいい加減、といった事態になればつまらないことでモチベーションが下がってしまいますので、適正な管理は必須です。
また、法律でも労働者の勤務時間は会社の義務となってます。参照してください。
1,よくある相談事例 
 
(1)社員がキチンと打刻してくれない
(2)打刻時刻と勤怠時刻の差がある
 これはうっかりの場合と、意図的な場合があります。あえて打刻をずらして残業時間を増やし残業手当を請求する、といったこともたまにあります。
(3)会社に来ない場合があり、打刻ができない
(4)ソフトの設定が複雑
 勤怠ソフトは会社や社員が勝手にいじれないように、さまざまな制約を設けています。これがかなり面倒なことになり、何年やっても効率的な運用が難しい例が多いです。
(5)ソフトの設定が経営方針に追いつかない
 例えば土日を休日扱いに設定していたが、土日勤務が行われるようになり通常の勤務にもかかわらず休日割増になってしまった(ソフトの設定変更が間に合わなかった)等です。
 
2、解決案 
 
勤怠管理には、タイムカード、勤怠ソフト、紙への記載等がありますが、これからのことを考えるとソフトの活用が合理的かとは思います。それに基づいてご提案いたします。
(1)完璧を求めない
 勤怠管理がうまくいくためには、このことに尽きる気がします。ソフトの設定をどんなにきめ細かく設定しても、労働時間の設定等経営方針が変わると使い物にならなくなります。
 経営方針が変更したのにソフトの設定を変えないと、時間外手当等間違って計算するケースがあります。ある程度のあいまいさが求められます。
(2)外部で打刻できる設定をする
 最近は会社以外での業務が増えています。スマホで打刻できるシステムは必須でしょう。
(3)定期的チェックを行う
 完璧なチェックは難しいでしょうが、定期的におかしなことが起きてないかチェックすべきです。また外部での打刻の場合はどこで打刻しているか(勤怠ソフトであらばチェッ
 ク可能)等も必要です。チェックする人は、事務職で良いと思いますが、これも定期的には経営や部署の全体がわかる管理職が見るべきでしょう。
(4)正しく打刻しない場合の懲戒規程を設ける
 どうしても常習的に打刻をしない人等は出てくるので、これも必要でしょう。やるべきことをやらないのに何もないと、それを認めることになってしまいます。


3,勤怠管理をめぐるトラブル

(1)印鑑の出勤簿で良いか
 これはよくある質問ですが、要するに「時刻等を書かないで印鑑をおしただけで良いか」、という質問ですが、これは×です。労基署でも自己申告による方法においても下記のような基準を設けています。

 


(2)提出を拒否できるか?
 社員、行政、裁判所いずれに対してもNOです。したがって「勤怠をつけていないから追及されない」は労基法違反や未払残業請求等において最高レベルでのリスクとなります。
★ タイムカード提出拒否を退けた判例
 相手方(使用者)が、タイムカードの提出により時間外手当の不払いが明らかになると、労働基準法に基づき懲役刑又は罰金刑に処せられる可能性があるとして、同法220条4号イ(自己負罪拒否特権)に該当するとして、提出を拒否できるはずだと主張したのに対し、裁判所は、「タイムカードは賃金台帳と同様に、労働者の基本的人権を保護することを主な目的として、法令により使用者に対して罰則の制裁の下に調製、保存および行政機関への提出を義務付けていると解されるところであって、労働者の権利保護のためには欠くことのできない重要な書類であり、しかも書類の記載内容は単なる客観的な出退勤時刻を記載してあるにすぎないものであるから、過重労働を理由とする安全配慮義務違反による労災損害賠償請求事件において、検証物提示命令が発令された場合には、民訴法220条4号イ(自己負罪拒否特権)の事由は、この提示命令を阻止しうる正当な理由には当たらない」と判示して使用者の主張を退けたものがあります。
                                 大阪高等裁判所平成25年7月18日決定判例時報2224号52頁

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