副業について

 副業に関しては、近年では大きく変わっているようです。従来はとにかく「副業禁止、職務に専念せよ」、という価値観がほとんどだったような気がしますが、最近では副業を許可もしくはむしろ推進する企業もでてきています。

 ポジティブな面では、①社員にいろいろな経験をしてもらいその経験を自社に取り入れてほしい、②多様な価値観を認め、充実したワークライフを営んでほしい、③さまざまな働き方を通して人生の夢を実現してほしい、といったもので、サイボウズの人事制度が有名です。企業の戦略としても社会の動きが激しいなかで社員にさまざまな経験をしてもらい、新しいアイデア等をだしてもらうことは必須でしょう。また、社員にしてもさまざまな制度を通して従業員満足を満たすことは人手不足問題のなかで一つの解ではあると思います。こちら

 一方ネガティブな面では、最低賃金が上がり、社会保険の適用範囲が広がり、円安により諸物価が上がり、と企業にとっても自社だけで社員の生活を充実させることが難しくなってきており、自社で充足しきれない分を他で補ってもらう、といった発想もでてきています。以下、注意点等記載してみます。

 

1,法律は

 

(1)原則禁止はできない

  副業に関しては、憲法第22条(職業選択の自由)で副業といえども労働者は自由に職業を選択する自由はあります。

 

(2)就業規則による規制

  社員が副業を持つことは通常の会社は禁止しています。ただし上記のように本質としては禁止できないので、副業をする場合の条件づけをすること  

 が妥当なやり方だとは思います。

 

2,従業員が副業をする場合のポイント

 

  •  主に下記がポイントとなります。したがって、許可するにも禁止するにもこの項目の記載が重要です。
  • (1)本業に支障が出た場合
  • (2)副業が原因で会社の信用に影響が出た場合
  • (3)同業他社での副業により利益相反が生じた場合
  • (4)会社に情報漏えいなどの不利益を被らせた場合

 

3,副業を許可する場合の規定例

 

(副業・兼業)
  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務が次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合

4,副業に関する姿勢

 

 会社としては例えば業務に支障がでるような副業は禁止したいので、その場合は許可制にして禁止事項を列挙することになります。推進する場合には逆に自己啓発のため副業を積極的にやってください、ただし、上記に記載してあることは禁止します、といった表現になります。

 

5,副業に関する裁判例

 


【概要】
運送会社が、準社員からのアルバイト許可申請を4度にわたって不許可にしたことについて、後2回については不許可の理由はなく、不法行為に基づく損害賠償請求が一部認容(慰謝料のみ)された事案。
【判決抜粋】
労働者は、勤務時間以外の時間については、事業場の外で自由に利用することができるのであり、使用者は、労働者が他の会社で就労(兼業)するために当該時間を利用することを、原則として許され(ママ)なければならない。
もっとも、労働者が兼業することによって、労働者の使用者に対する労務の提供が不能又は不完全になるような事態が生じたり、使用者の企業秘密が漏洩するなど経営秩序を乱す事態が生じることもあり得るから、このような場合においてのみ、例外的に就業規則をもって兼業を禁止することが許されるものと解するのが相当である。

                                           マンナ運輸事件(京都地判平成24年7月13日)

 


【概要】
教授が無許可で語学学校講師等の業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とした事案。
【判決抜粋】
兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である。

                                       東京都私立大学教授事件(東京地判平成20年12月5日)

                                                     <それぞれ厚労省HPより抜粋>

 

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