1,あいまいな運用はNG
固定残業とは、あらかじめ残業時間を想定して手当を支給するものです。本来残業手当は残業時間から割増率等を加算して計算するものですが、この方法はさまざまな働き方があるなかで、合理的に運用できる切り札にもなります。
ただし、厳密に運用しないと否認されますので注意が必要です。以下記載しておきます。
1,就業規則にこのことが書かれている。
2,定額残業手当の金額が明確になっている。
3,残業手当の金額が残業の対価として支払われている。
4,残業として想定した時間を超えた場合には、超えた金額が支払われている。
5,残業として想定した時間が長すぎない
判例からみると大枠では上記のような要件となります。つまり「定額残業手当50,000円」みたいなアバウトな運用はこの制度自体を否認されます。またこのような設定・運用をしている企業が多いので、注意してください。
2,就業規則にこのことが書かれている
下記のような記載となります。具体的な金額を入れると運用が難しくなるので、それは労働条件通知書に個別に記載することがミソです。
第〇〇条(時間外勤務手当)
1,・・・
2,・・・
3,あらかじめ一定時間、時間外労働を行ったとして時間外勤務手当を支給することがある。この場合、一定時間を超えた時間については前項にもとづき計算した金額を当該賃金支払期に支払う。
3,金額が明確になっている
×の事例
基本給 〇〇円
その他手当 〇〇円
〇の事例
基本給 〇〇円
残業手当(定額分)〇〇円
家族手当 〇〇円
4,定額残業手当の金額が残業の対価として支払われている
基本給200,000円、所定労働時間170h、定額残業20hの場合
×の事例
基本給 200,000円
残業手当(定額分) 30,000円
☞ 計算が合わない
〇の事例
基本給 200,000円
残業手当(定額分) 29,412円
☞ 200,000円/170*1.25≒29,412円
5,想定した時間を超えた場合、超えた金額を支払っている
上記で時間外労働が30hの場合
基本給 200,000円
残業手当(定額分) 29,412円
残業手当(超過分) 14,706円
☞ 200,000円/170*1.25*(20-10)≒14,706円
6,時間が長すぎない
定額残業時間として設定した時間が長すぎ、安全配慮義務をはたしていないとして、定額残業の構図そのものを否認された裁判例があります。
現在、残業時間の上限が45時間なので、これを上限に設定し管理したほうが良いでしょう。法律上は特別条項を設ければ45時間以上働かせることはできますが、定額残業の設定に関してはこの範囲にしておくべきです。それから、実際の残業時間と定額残業時間がある程度一致している必要もあります。