パートタイマーに退職金を請求された

1,パート用の就業規則がなかったことが致命的
  
パートタイマーや契約社員、いわゆる非正規社員の就業規則がないために起こるものです。同一労働同一賃金にも抵触するので、下記対応は必須です。
 
2,パートへの退職金義務を取り除くためには
  
 下記のような事件が起きるのは、正社員とパートタイマーの区分けをきっちり行ってないことと、従業員に対して、誰がパート誰が正社員との告知を明確にしていない、つまり経営者の頭の中だけで区分けしていることに多くの原因があります。これはけっこう多くの企業で見受けられます。暗黙知で何となくそうなってますが、「私がパートって誰が決めたの?私の身分は何?」の質問に答えられないマンガのようなケースです。
退職金を誰にいくら出すか出さないかは、公平性が保たれていれば特に問題はありません。通常パートタイマーに退職金を出すことはないと思います。しかし、就業規則(退職金規定)にパートタイマーには退職金をださないことが書かれていないと、そうはいきません。また、書かれていても従業員の個人個人の属性を明確にしておかないとこれもまずいです。
 
3,裁判事例 
 
★ 高齢パートの退職金が認められた判決
 
 定年の60歳を超えていた高齢者を日給制で短時間で採用したが、この社員が約7年勤務した後、正社員の就業規則で計算した退職金104万円を請求してきた。地裁では企業の就業規則の採用時の説明や本人が退職金が出ないことを承知で入社したこと、就業規則の労働条件と実際の労働条件の相違などからこの企業の就業規則の退職金規程は正社員のみに適用される、等として請求を退けた。
 しかし高裁では、「適用対象を正社員と高齢者に分けて規定しておらず、規定の内容も従業員全員に及ぶものとなっていた」「高齢者には適用しないという定めはないのであるから、本件就業規則は高齢者にも適用される」として、この高齢社員への退職金の支払いが認められた。
                                                                                                                                  大興設備開発事件<大阪高裁 H9.10.30>
 
4,同一労働同一賃金との関連 
 
 現在は働き方改革の関連で同一労働同一賃金が問われますが、この事例はそれとは違います。同一労働同一賃金は同じ業務を行っている従業員を、パートやアルバイト等の雇用形態の違いだけで条件を変えてはいけないことです。この事例は短時間勤務等あきらかに勤務形態が違う従業員ですが、就業規則が正社員のみしかないのでこれが適用された事例です。
 ただし今後はただ就業規則を雇用形態別に作成することは必要ですが、それに加えて職務内容や配置転換の有無等も明記していく必要はあるでしょう。