定年退職拒否

66歳のスタッフに、定年退職を拒否された
 
<事案>
 
 S社はソフトウエア会社。数年前の創業時、大手企業をリタイアしたOを臨時のつもりで経理担当として雇入れた。その後順調に業績を伸ばし、経理・総務担当を担当すべき従業員の採用もできたので、66歳になったOに定年齢の経過による退職を打診したところ、Oはそんな約束はないと拒否、さんざんもめたがあげく、退職金支払い等の条件付きで辞めてもらった。
 
<ポイント>
 
 S社に就業規則がなくOと雇用契約をしなかったこと。定年は「就業規則で定める、雇用契約に定める」等を行って初めて効果がでます。もし定年を定めていない場合、何歳になっても解雇による退職になってしまい、会社としては解雇権の濫用により解雇できない、等の問題が発生します。この事例はむしろ和解できてよかったともいえます。
 また定年があっても、それを超えて勤務している従業員がいる、定めてある定年年齢が法律を下回る、等の場合はやはり定年がないのと同じ解釈になってしまうケースもあるので要注意です。 
 
★ 定年後再雇用に関して、慰謝料の請求が認められた判例
九 州 惣 菜 事 件 ( 福 岡 高 裁 平 成 29.9 .7 判 決 )
 期間の定めのない従業員としてYに勤務していたXが、定年退職に当たって、Yに継続雇用制度による定年後再雇用を申し入れ、Yが再雇用の条件を提示したところ、その条件に応じられないとしてXが退職し、後に損害賠償等を求めた事件。 Yが提示した条件が、賃金が定年前の約 25%となるパートタイマー契約だったため、Xは、①定年後も雇用契約関係があることの確認と、②Yが、賃金が著しく低廉で不合理な労働条件しか提示しなかったことは、Xの再雇用の機会を侵害する不法行為であると主張して損害賠償を求め提訴した。上記②について、Xの請求を認め、Yに慰謝料の支払を命じた。