★ 精神疾患を発症した警察官の自殺について、県の安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事件
静岡県県警察事件 最二小判例令7.3.7
静岡県警の男性警部補(当時31歳)が自殺したのは長時間労働でうつ病になったのが原因として、男性の両親と妻子がそれぞれ県に損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審判決が7日、最高裁第2小法廷であった。三浦守裁判長は、男性の過重業務と自殺の因果関係を認めた上で、「上司は過重業務と認識できたのに注意義務を怠った」と述べ、県の賠償責任を認めた。
2件のうち、妻子が訴えた訴訟では、県側の上告を棄却し、約1億140万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。両親が訴えた訴訟では、両親の請求を認めなかった2審判決を破棄し、賠償額を算定させるために審理を広島高裁に差し戻した。
読売新聞オンライン引用
☆ 判決のポイント
具体的な判断として、時間外勤務時間数の認定とともに、その直前の約1カ月間に、交番町としての業務のほかに職場実習指導員の業務、連続窃盗事件の見回り、本件研修準備という交番長としての業務とは異なる内容の業務にも従事していた事実を併せて考慮し、自殺直前の時期に行っていた業務に相当程度の疲労や心理的負荷等を蓄積させるものであったとしました。
そのうえで上司らが男性警部補の業務を適切に調整するなど、その負担を軽減するための措置を講じなければ、精神疾患を発症して自殺に至る可能性があることを認識することができたにもかかわらず、負担を軽減する具体的な措置を講じていないとして県が安全配慮義務に違反し、損害賠償責任を負うとした2審の判断を正当としました。
☆ 会社はどうすべきか
この裁判では、長時間労働に加えて上司が男性の負担軽減の措置を行わなかったことに責任があるとしています。県を会社に読み替えての記載ですが、まずは長時間労働をなくすことが第一です。現状人手不足が著しいのですが、まずは人材確保、離職防止対策、採用戦略が重要項目です。それから人事制度としての個人面談やストレスチェック等も法律上の義務という視点ではなく、組織開発という視点をおこなうことが重要です。