<事案>
A社は主にログハウスの建材を扱っている卸およびログハウスのメーカー。営業はルート営業の他、一般顧客への営業、設計担当者との打ち合わせ等、多岐にわたっている。労働基準監督署の調査が入ったとき、就業規則に残業手当を125%支払うと謳っているので、営業マンに対しても残業手当の支払いを指摘された。営業マンは事業外労働であるためにみなし労働であることを主張したが、就業規則に謳ってないため認められず、過去2年間分の残業手当支払を勧告された。
<ポイント>
事業外の営業マンにはみなし労働(あらかじめ決めた時間労働したとみなす制度)が認められています。就業規則に明記しておくとともに、残業手当に変わる営業手当の支払い、等いくつかの条件が必要です。
営業職など外回りを業務としている職種に、あらかじめ決められた時間働いたとみなすことが認められる制度です。ただしその業務を行うのに所定労働時間を超えることが必要な場合、労使協定を結んで必要な時間を設定する必要があります。この場合残業手当を支払う必要がありますが、前もって金額がわかるので管理しやすくなります。
事業場外みなし労働時間制を採用する場合、注意しなくてはいけないことは、ルート営業などで行先が決まっていたり携帯等で細かく指示をしたりプロセスを管理するような状態だと認められないことです。実際にはこの制度があてはまるケースは少ないような気はします。
上記事業場外みなし労働時間制が否認されると、未払残業手当が多額になるリスクがあるので、微妙な業務内容の場合、事業場内外にかかわらずあらかじめ残業手当を設定する定額(固定)残業手当や、残業割増が小さくなる歩合給などの検討の効果が期待できます。