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免許を取り消されたドライバーの扱い

即解雇とはいかない

<事案>

B社は運送会社。運転手Yが交通違反で免許証取り消し。会社としては運転ができない従業員を雇える場所がないので解雇通告。家族に泣きつかれ、また出るとことに出る等半分脅かされ、倉庫番として雇用を続けた。

<ポイント>

普通考えたら、運転手として雇った従業員が運転ができなくなれば解雇はあたりまえですが、法律上の雇用はもう少し大きく捉えてます。職場転換等の努力を求められるでしょう。合理的に運用するのであれば下記が留意点です。
①職種限定の雇用契約を結ぶ。つまり運転手として雇うのであり、そうでない場合には解雇する。ことの明記。
②就業規則の普通解雇要件に「運転ができなくなった」ことを明記する。
あまり世知辛いことをしたくもないでしょうが、経営権という面では必須です。

免許を喪失したドライバー解雇の裁判例

<争点>
 タクシー会社の元運転手が追突事故で受傷し解雇され、地位確認、賃金等の支払を請求した(労働者勝訴)

<事案概要>
: タクシー会社の元運転手Xが、追突事故による受傷・休業・復職を経たのち、
① 二種免許を失効し、タクシー運転手としての業務に耐えないこと、
② 配置転換を求めたが就労の意志が見られないこと
を理由に解雇されたことについて、Y社に対し地位確認、賃金等の支払と、損害賠償等を求めた。

東京地裁は、
① 運転手としての業務に就けなくなったとしても、就業規則の普通解雇事由「免許取消しとなりタクシー、ハイヤー乗務員としての業務が出来なくなったとき」との規定は、免許取消しを要件としていることから資格喪失が解雇になることの根拠とはならない、
② Xに就労意志が見られないとの事由についても、会社は交渉を進めるため脅迫するかのように解雇通知を発しているとして、解雇事由は存在しないとした。
一方、裁判所の強い勧めによりいったんは復職しながら再び出社しなくなるなどXにも職務放棄がみられるが、会社は退職に追い込もうとしていたと評価でき、この後の第二次解雇(懲戒解雇)も解雇権の濫用があり無効であるとしてXの地位確認の請求を認め、賃金については、極端に少ない時期を除いた分の平均額を相当として支払を命じた(損害賠償請求については、対立は双方に責任があり、解雇は不当であっても不法行為とまではいえないとして棄却した)。
                          東京エムケイ事件 東京高裁 2008.9.30

<ポイント>
この判決では、通常の免許取り消しとこの事案の特殊性からの判断がありますが、通常の話としてはタクシードライバーの免許が誰でも取れる資格で高度な専門資格ではない、ということの判断がされています。またこの事案の特殊性からは、会社の規模が大きいつまり変わりの職種があるであろうこと、通常の免許取り消しのような自責的・機械的でない、等が書かれています。

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