助成金、就業規則は横浜の社会保険労務士

リアライズ社労士法人

〒231-0012 神奈川県横浜市中区相生町6-104ー6F
桜木町、関内、馬車道駅から徒歩5分

お気軽にお問合せください  

045-264-8255

幹部が部下を引き連れて、競合会社を立ち上げた

競合避止について

あるソフトウエア会社の事例

<事案>

ソフトウエア会社E社(従業員80名)は、幹部であるAが部下8人を引き連れて会社を設立、E社の顧客を対象とした業務を開始した。

<ポイント>

これはE社としてはたまったものではありません。一方Aにしてみれば、憲法で職業選択の自由が定めてあるともいえます。このような場合、ケースバイケースで判例はかなり異なりますが、一定の要件のもとライバル行為の禁止を認めた判例もありますし、退職金の返還を認めた例もあります。就業規則では以下がポイントです。
① 退職後の一定期間の競合行為の禁止を定める
② 上記を行った場合退職金を支払わない、支払った場合後で発覚したら返還を求める
①は憲法との関係がありますから、たとえば裁判次第の面はありますが、②は規則をつくれば適応できます。

競業避止義務の考え方

 競業避止義務とは、労働者が所属する(またはしていた)企業と競合に値する企業や組織に属したり、自ら会社を設立したりといった行為を禁ずる義務のことです。会社としてはノウハウや顧客情報を活用されたくはないですが、一方社員側には職業選択の自由という憲法もあり、そこのせめぎあいが判断となります。
 競業の制限が合理的範囲を超えて職業選択の自由を不当に拘束する場合には、公序良俗に反して無効となります。なお、合理的範囲内か否かは、制限する期間、場所的な範囲及び職種の範囲、代償の有無等について、企業の利益と退職者の不利益等から判断されます。 

競合避止義務が認められた判決

【事案の概要】

(1) 多くの技術的な秘密を要する各種冶金副資材を製造販売するY社の研究部に所属し同社の技術の中枢部に直接関与していたX1と技術的知識のある販売員であったX2は、在職中、退職後を含めての秘密保持契約と退職後2年間の競業避止契約を結ぶとともに、機密保持手当を受けていたところ、自己都合で退職して間もなく、A社の取締役に就任して競合商品を生産し、Y社の得意先とも取引を開始したことから、Y社は、秘密保持契約、競業避止契約に基づき競業行為の差し止めを求めて仮処分を申請したもの。
(2) 奈良地裁は、秘密保持契約・競業避止契約がいずれも有効であるとして仮処分申請を認容した。

【判示の骨子】
(1) その会社だけが持つ特殊な知識は営業上の秘密として保護されるべき法益であり、これを知り得る立場にある者に秘密保持義務を負わせ、退職後一定期間競業避止義務を負わせる特約は適法・有効である。
(2) 競業の制限が合理的範囲を超え、Xらの職業選択の自由等を不当に拘束し、同人の生存を脅かす場合には、その範囲は公序良俗に反し無効となる。この合理的範囲を確定するに当たっては、制限の期間、場所的範囲、制限の対象となる職種の範囲、代償の有無等について、会社の利益労働者の不利益及び社会的利害の三つの視点に立って慎重に検討していくことを要する。
(3) 競業避止義務を負う期間が2年間という比較的短期間であること、対象職種も比較的狭いこと、場所は制限されておらず、退職後の制限に対する保障はないものの現職当時には機密保持手当が支給されていたこと等の事情を総合すると、その義務は合理的範囲を超えているとはいえない。

                  フォセコ事件 S45.10.23 奈良地裁 厚労省HPより引用

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せはこちら

045-264-8255