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試用期間が短い

試用期間中に能力を判断できない

<事案> 
ソフトウエア会社N社では、社員Cを独自の技術を要するプログラムができるとのことで採用したが、採用時に話し合ったレベルよりかなり劣るので退職を迫ったが、①採用時の話に矛盾はない、②3ヶ月の試用期間が過ぎている、ことを理由に断られた。

<ポイント> 
特に技術職の場合、本人が申告するレベルと会社が期待するレベルが異なるケースは多々あります。この場合、試用期間をうまく利用することが得策です。ほとんどの就業規則では3ヶ月になってますが、もっと長く取って見極めることが必要でしょう。試用期間とはいえむやみに解雇することは違法となりますが、技術職等の場合にはそうはいってられないでしょう。

適正な試用期間はどのくらい?

 ここでいう試用期間は労働基準法の試用期間(14日)とは違い、解雇権留保付労働契約のことで、いわゆる見習い期間のことです。
 この期間は法律で決まっていません。しかしあまり長すぎると裁判で否認されることはあります。また職種によっても解釈は異なるでしょう。誰でもできる単純作業であれば見極めることに長くはかからないでしょう。一方、研究職等の特殊技能や高度な能力を必要とする職種であればそれなりの期間は必要でしょう。下記のような調査結果もあります。

試用期間の長さ
<新卒>
3ケ月 66.1%、6カ月 18.3%、2か月 8.4%
<中途>
3ケ月 65.7%、6ヵ月 16.5%、2か月 8。3%
             JILPT(独立行政法人労働政策研究・研修機構)による2014年の調査

試用期間管理の重要性

 いくら試用期間とはいえ、期間中または終了後にむやみに解雇することはできません。労働契約法では解雇にあたっては、客観的に合理的な理由と社会通念上相当であることが必要です。トラブルの事前防止という観点からも、本人や周囲への納得感という視点からも試用期間管理は重要です。
 試用期間満了の前の一定期間に面談を行い、これまでの評価を行い、本採用が難しいようであれば、その理由や本採用登用の条件等を明らかにするべきでしょう。

試用期間延長後の解雇は無効(判例)

<概要>
 新聞社に試用された社員が、勤務態度不良等の事情から本採用されず、試用期間延長に関する試用規則に従い一年間試用期間を延長されたが、この間の非行を理由に不適格とされ解雇されたのに対し、右解雇は無効であるとして地位保全等求めた(労働者勝訴)
<判決理由>
 試用延長の意思表示は、試用期間の満了によっては本人を不適格として不採用としない意思を表示するものであり、従って、そこには、一応解雇(不適格不採用)事由に該当する様なものがあっても、もはやそれのみを事由としては不採用とはしない意思表示を含むと解すべきであるから、何ら新たな事実の発生がないのに、試用延長前に発生し且つ延長の事由とされた事実のみに基づいて解雇することは、被傭者に一旦与えた利益を奪うこととなって禁反言の原則に照らしても許されないからである。
                           大阪読売新聞社事件 大阪高裁1970年

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