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安全配慮義務違反により賠償責任

会社に対し、従業員の親へ交通事故死の賠償責任として、5043万円の支払命令

<事案>

大型トラック運転手の業務中の交通事故死につき、雇用主たる会社および代表取締役らに対し、連帯して総額5,043万円の損害賠償の支払が命じられた
(東京地裁 平18.4.26)

<ポイント>

これは「従業員のトラック運転手が交通事故を起こしたのは、会社の安全配慮義務違反のためである。したがって賠償責任をせよ。」という訴えに対して出た判決です。大きなポイントは安全配慮義務違反があったか否かで、このケースの場合直前の労働時間が問題になりました。当事案の運転手の場合、直前42日間で101時間の時間外労働があり、これが判決のポイントになりました。
今は経営環境が厳しく、時間外労働もかなり多くなる企業もありますが、安全配慮だけでなくさまざまな点で時間外労働は多くならないような管理が重要です。脳・心臓や精神病の労災が認定される指針になる月80時間はぜったいにオーバーしないほうが良いです。
就業規則というより労務管理の問題ですが、この時間外労働に関してはさまざまな問題が顕在化しています。

安全配慮義務について

安全配慮義務とは

 会社の従業員が安全で健康に働けるように配慮することで、下記に定められています。

<労働契約法 第5条 労働者の安全への配慮>
 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

安全配慮義務違反とは

 安全配慮義務違反になるには、下記2つの視点がポイントです。

1,危険な事態や被害の可能性を事前に予見できたかどうか(予見可能性)
2,予見できた損害を回避できたかどうか(結果回避性)

 また、安全配慮義務違反に対しての罰則はありませんが、上記のように民法による賠償責任を問われることはあります。
民法709条(不法行為責任)
民法715条(使用者責任)
民法415条(債務不履行)

安全配慮義務を果たすには

1,安全衛生管理体制を整える
 衛生推進者や安全衛生推進者の選任等、法的な基準は必ず満たす
2,安全衛生教育を実施する
3,危険防止のための安全装置等は必ず設置する
4,健康診断・メンタルヘルスチェックを行う

 上記には労働者数によって義務化が異なりますが、積極的に行っていくべきでしょう。

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