<事件概要>
保育園を運営するYに勤務する保育士Xが出産・育児を経て復職を希望した際、Y理事長は復職不可を伝え解雇理由証明書を交付した。内容は「施設長と保育観が一致しないことにより同園への復帰要望を叶えることができず、当法人都合による解雇に至った」と記載。なおYはXが解雇通告を了解しての退職合意と主張。
<裁判所判断>
退職の同意の有無に関しては、認定事実からは退職合意の存在は認められないとし、解雇に関しては解雇の客観的合理性、社会的相当性」(労契法16条)の双方を否定、出産と解雇の関係性の不存在の証明もないから均等法9条4項にも違反しているとし、経済的損失と慰謝料30万円の支払いも命じた。
社会福祉法人緑友会事件 東京高裁令和3年3月4日
<男女雇用機会均等法>
9条
3,事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、・・・・その他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4、妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
<労働契約法>
16条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。