雇用保険は社員が辞めた時に失業給付が出ることがよく知られていますが、会社が人を雇ったり、教育をしたり、雇用を延長したりしたとき等、一定の労務管理を行ったときに、会社に対して助成金が給付されます。政策の意向が強く反映されるので、最近のものでは女性活躍や非正規の正社員化等が打ち出されています。これは借入でもなければ、タダでもらうものでもなく、会社が行う雇用管理が助成金対象事項にマッチしていれば当然の権利として受け取れるものです。
現在の雇用保険料は、
労働者負担 賃金の5.5/1000(失業給付分)
会社負担 賃金の5.5/1000(失業給付分)
賃金の3 /1000(雇用保険2事業分)
雇用保険2事業とは、「雇用安定事業、能力開発事業」のことで、主に助成金の財源となっています。もし助成金を取っていないとすると、他の会社のためにお金を収めている構図となります。そういうことに疎い中小企業が、抜け目のない大企業のためにセッセと収めているケースが多いかもしれません。この制度、いろいろ批判もありこの事業をやめて保険料を安くしてほしい、との声も上がっているようですが、制度がある以上積極的に活用したほうが賢いでしょう。
雇用保険の制度なので、主に雇用を増やすことに対して支払われます。非正規社員の正社員化、有期契約社員の無期転換化、教育訓練、高齢者や女性活用などに出ています。ただし職安経由であることとか、事前に計画を出しておかないとダメとか、制約が多いことも事実です。
① 事前準備
ほとんどの助成金は計画が必要です。たとえば人の採用の助成金の場合、人を採用する前に計画を出しておく等です。したがって、助成金の全体図を把握して、自社の行う労務管理を予測しておくことが重要です。
② 労務管理がきちんとできていること
助成金を受給する場合には法律を遵守していることが最低限必要となります。労務管理ですべての法律を遵守することは難しい面もありますが、こういう機会に就業規則の整備等、経営改善を行っていくことは会社にとっても有意義なことです。
③ 専門家を活用する
以上を考えると、手前味噌になりますが、専門家(社会保険労務士)をうまく活用することがキーポイントになるとは思います。